ハッピーライスいわて丸福 「土の力で育てよう安心安全なお米」

川村農法とは

稲 お米ができるまで

稲が成長していく中で季節の変化における気温の変化や、天候の移り変わりによって、様々な菌がバトンタッチをしながら稲を生長せせていきます。

この土壌菌がいなかったら健全な稲として生長していくのは難しいです。
なぜなら稲は大粒の種子を付けるために多くの栄養素が必要不可欠だからです。

稲が健全に育つためには、田んぼの中にいる土壌細菌、微生物などの連携により成り立っているからなのです。

それでは代表的な土壌細菌を季節とそれぞれの役割ごとにご紹介していきます。

稲刈後の秋から冬にかけて

まず秋に稲を刈った後、田んぼは大抵そのままの状態で冬を迎えます。

この冬に活躍するのが「麹菌」です。

この菌は一言でいえば「カビ」のことです。

このカビはキノコを作るキノコ菌も含まれています。

ここでは、一言で麹菌と総称します。

私たちの身の回りでは麹菌はお米についたり、パンについたり、お餅についたりしてカビを生やします。

麹菌は特にでんぷんが大好きです。
でんぷんと水分が揃った時、空気中に待っている麹菌の種(胞子)がでんぷんを餌にくっつき芽をだします。

この麹菌は下におちたモミ(米)土やワラの一部などに付着し、それらを分解します。

麹菌は常に空か降っている菌です。えさ、水分、湿度が揃った時に初めて麹菌は姿を現します。これが「カビ」として現れるフワフワした白いわたのようなものです。

麹菌は硬く、分解はあまり得意ではないため、ワラを全て分解することはできません。

麹菌はアミラーゼという酵素を出し、冬の寒い中、土の栄養素を少しづつ分解していきます。

麹菌は低温菌のため雪の下でも活動をすることができます。

よって麹菌が土の養分を分解している間は他の菌が活動できないため、栄養素を食べられたり、持っていかれることなく土中に返すことができます。

やがて春になり

やがて春になり、麹菌も活動をより高めると同時に他の菌も活動を活発化していきます。

ここで活躍するの菌が「乳酸菌」です。

乳酸菌は麹菌が分解してくれた養分をバクバク食べ土をきれいにしていきます。

なぜ土がきれいになるかというと、乳酸菌のもつ乳酸という強い酸が他の雑菌たちを寄せ付けなくするからです。

他の雑菌たちは別名「腐敗菌」と呼ばれ、発酵ではなく腐敗を活動としてモノを分解(腐敗)していきます。

菌が行う活動として、人間にとって好ましくない分解を腐敗といい、好ましい形の分解を「発酵」といいます。

こうして、田んぼの土壌は乳酸菌の乳酸によってやや酸性へと傾いていき、他の雑草も生えにくい状態を作っていきます。

この麹菌と乳酸菌が活発に活動しているときに田んぼを耕す作業が行われます。

田んぼを耕し、土を砕き、土中に酸素を入れておくことで、代掻きもよく土が崩れピタッとパックのようになった土の中には酸素を含んだ状態の土が作られます。

そして田植えをした後、稲は麹菌と乳酸菌が作った栄養素を存分に吸い始めていきます。

基本的に稲は弱酸性の土壌で育ちやすいので、乳酸菌が土壌を酸性に傾けてくれたお陰で、他のライバル(雑草)が芽を出しにくくなり、雑草の成長が遅れます。

結果的に稲の成長が優先され、田んぼ内で稲の方がより多くの太陽の光を浴びる日照権を獲得するとが出来ます。

そもそ田植えとは、先に伸ばした稲を植えることによって、他の雑草などよりも先に日照権を掴むために考えられた技術です。

(ビニールハウスで稲を早い段階で栽培するのはこのためです)

田植え後、稲はぐんぐん成長していきます。

気温もぐんぐん上昇し、稲はますます大きくなりやがて横に広がっていきます。

これを、分げつといいます。

急成長期の夏

気温の上昇にともない土の中の菌も出番交代がおき始めていきます。

この次に現れてくるのは、「納豆菌」です。

納豆菌はワラの時にすでに何千という胞子を潜在的につけています。

これは枯草菌というもので、これは草や葉っぱ、茎などをパリパリにして食べてしまう菌です。

実はこの納豆菌は枯草のワラを分解するために準備しているのです。

そしてワラを分解した代わりに、ミネラルやたんぱく質を植物や土中の菌に食べやすいように分解し、土へ返します。

これは気温が高い夏におきます。

この時期に水の中と土の中に酸素があれば、納豆菌はさらに力を発揮します。

納豆菌は高温菌のため、100度になっても活動し続けることができます。そしてこの時期に田んぼの水源に藻などが繁茂し、光合成により水中に酸素がいきわたれば、納豆菌はそれで呼吸をし、水温が下がるまで活動を続けます。

さらにこの藻は夏場の高温のなか、田んぼの水の蒸発を防いでくれます。

この納豆菌はその強い分解力のため、水中と土中をよりきれいにしてくれる作用があります。

今では河川や湖の浄化などに使われる代表的な菌です。

気温が下がり秋には

やがて季節は秋へと向かい、気温が下がり始めます。

同時に水温も下がっていきます。

納豆菌は徐々に活動を弱めていき、次に活動を始めるのが酵母菌です。

酵母菌は麹菌、乳酸菌、納豆菌、が作ってくれた栄養素最後に合成します。

アミノ酸や窒素、リン酸、カリなどの稲の最後の登熟のために必要な栄養分を必要な形へと、合成して与えてくれます。

酵母菌は中温菌で、夏の終わりから収穫の秋まで活動を続けます。

この時、稲が枯れあがるように黄金色になりますが、稲は多年草といって、次々と横から新しい穂をだしていきます。

生きている稲は秋になっても死ぬことはありません。
まだ分げつをして種を付けようとします。

酵母菌が栄養を与えているため、まだ生きているから青く、倒伏にも強く、天候にも強い稲が出来上がります。

そして、稲刈り後、気温の低下とともに酵母菌も活動を弱め、麹菌が活動を開始し始めます。

このように春夏秋冬を通して土壌の中では様々な菌がバトンタッチを繰り返しながら稲を育んでいます。

自然と季節と菌のバトンタッチ

これは何も農作物に限らず、そこらの土手の雑草でも同じことが起きているのです。

ここでは代表的に「麹菌」「乳酸菌」「納豆菌」「酵母菌」とご紹介をしましたが、実際には無限大の種類の菌が土の中でバトンタッチを繰り返しながら作物に栄養を与えています。


このような菌のバトンタッチをできる限り、邪魔しなければ作物はまるで自然の中に生きているかのように健全に育ってくれます。

その時期、その時期に必要な栄養も個なれば、必要な菌も変わっていきます。

現在の近代農業のほとんどはその時期その時期に必要な栄養を人工肥料(化学肥料)で自ら(人間)の手で与えます。

これは人間が働き、人間が作物を作るという動きです。

一方、多くの有機農業の手法は、その時期その時期に必要な栄養を菌に作ってもらうというものです。

これは菌が働き菌が作物を作るという菌(自然)の動きです。

土壌条件というのは一枚の田んぼの中でも異なるため、いくら菌が働いてくれるといえど、収穫量にはばらつきがみられます。

有機農業といってもやり方には個人個人で異なり千差万別ありますが、ここでは支援にできる限りのっとった有機農業をお話したいと思います。

有機農法について

まずはじめに、人工肥料と化学肥料を与えると、作物(稲)はがどれだけその養分を吸収してくれるのかというと、たったの数パーセントに過ぎないという結果が報告されています。

では残ってしまった養分はどうなるのか?

これは土中で硝酸態というものに変わり、硝酸を分解する菌がそれを分解します。

この菌は硝酸を分解することで、硝酸を硫黄などに変えていきます。

硫黄などに変えていくとはどういうことかというと、土中に残った化学肥料が残り腐るということです。

その土で稲も育っているわけですから、稲はその腐敗物を吸収してしまいます。

そのため病気がちな稲になっていきます。

※病弱な稲を守るために農薬を使用して害虫や外敵から守ります。

見た目は大きくなり青々としているので、自然の働きで育てている稲と比べると立派に見えがちですが、それは本来の稲や作物のペースではなく瞬間的に大きくなったのを見て、人間(農家)の不安を取り除くためのようなものです。

このように先に栄養をあげて大きくなってしまった稲は、夏場の高温期の温度による成長も促されさらに大きくなります。

そしてこの時期に太り過ぎた稲は「いもち病」を発生さてしまったり、虫に食べられやすく、病気になりやすい稲になっていきます。

即効性のある栄養を与えることで、稲の根は下に延びる努力をしようとしなくなります。

本来は根を先に延ばしてから、上に延びる順番をたどります。

なぜなら、根が張られずに上に伸びたら倒れるということをい稲も知っているからです。

しかしなかなか上に伸びない稲を見て不安になり、肥料を与えてしまうのです。

残ってしまった栄養分は明らかに腐敗して、それは川へ流れ、海へと返されます。

この腐敗してしまった、硝酸態(硝酸窒素)が赤潮や青潮の原因になっていることが判明しています。

先に稲を伸ばすことよりも、根っこを伸ばさせてあげるほうが、稲のペースであり、本来の順番でもあるわけです。

稲に任せておけば後の夏の気温上昇と水温上昇により一気に成長をしてくれます。

なぜなら、そうなる準備は根を先に伸ばしておくことで出来上がるからです。

このような下準備をして、作物は土壌の菌と連携プレーをする準備ができ上っていきます。

稲はとても強い作物です。

それによって誤解されているところもあります。

稲はたとえ腐敗しているような土壌でも頑張って不通に種を付けてしまうため、「これでいいのだ」という錯覚を私たちに起こしてしまいます。

稲は土壌が汚れていてもそれなりの結果を出すくらいとても強い性質を持っているのです。

ですから、水田状態は知らず知らずのうちに悪化していきやすいのです。

しかしそのような条件で育つ稲はドロオイ虫、立ち枯れ、イモチ病、サビ米、虫害や、耐病性、耐寒性、耐暑性にも弱い稲へとなっていきます。

台風やちょとした気候変動に大きく左右されようになります。

自然的に稲を栽培するとは、稲を創っている土壌とそこに住んでいる様々な菌、そして稲のペースを尊重した栽培のことです。

それを少しご紹介したいと思います。

稲のペースや稲の気持ちで言うと、稲はそこに来年も子孫を残したいはずなのです。

だから一粒の種から秋になれば何千粒、何万粒という子孫を作ります。

その何千という子孫は時期が来れば穂から下に落ちます。

その種は土の上に落ち「水分」「酸素」そして「温度」の三者の条件が揃うのをじっと待っています。

この三者の条件がそろうのが「春」です。

それまでの秋から冬、そして春先まで季節を超えなければいけません。

どの季節でも「水分」「酸素」はあります。

しかし「温度」だけが春になるまでは条件が揃いません。

なぜなら稲は最低16度ないと発芽しなからです。

秋から冬の間稲が落とした子孫たちはたくさんの菌や虫の餌になります。

でんぷんの好きな麹菌が分解をはじめ、土に養分を返したり水を吸って柔らかくなったところを小さな虫が食べその糞を土に返すのを繰り返していきます。

様々な形で稲の子孫は食べられ分解され土に返りその数を減らしていきます。

稲の気持ちからしたら、むごいようにも思えることですが、それでいいのです。

たった一粒でも芽が出れば子孫を何千倍、何万倍にもできることを知っているからです。

芽を出すことができずに食べられ土に返った多くの仲間の犠牲は、芽を出した稲に向けて、必ず次の年も良い実をつけるようにするために土や菌、虫に与えているいわば先行投資でもあるのです。

多くの仲間を様々な菌や虫たちが食べて分解し、土壌に返してくれたたくさんの医栄養分を今度は自分(稲)が使う音でよりよい連携プレーが成り立っていることがわかります。

このようにして、稲も与えて与えられるという自然のサイクルが成り立っているのが分かります。

これが稲の自然的な育ち方です。

しかし現在のわれわれ人間は一粒のも残らないほど、田んぼから種のすべてをもっていってしまいます。

つまり秋から春先までの菌と虫たちの餌が慢性的に不足しているのです。

冬場に餌がない状態だと麹菌は存在できません。

麹菌がいないと後に続く菌たちも増えていくことが出来ず、結果的に稲が吸収できる栄養分は少なくなってしまうのです。

栄養がうまく回らない土を解決するために使用されるのが科学肥料なのです。

慢性的に栄養不足の土壌にいち早く栄養を投入することで、作物は不足した栄養を補えるようになりました。

しかしこの化学肥料を使用する農法が、昨今では問われ始めてます。

それは、この農法がもたらす結末は、農作物や土壌の状態悪化だけでなく、海や川などの汚染原因のほとんどが農業で使用する化学肥料や農薬だとわかったからです。

しかし農家にとって今までの手法を変えることも大変な勇気がいることです。

収穫量は直接収入につながり、それだけでなく沢山の機械や設備投資をしているからです。

そういった意味で、作る農家側だけでなく、販売する側、それを食す消費者側にも大きな転換期が迫ってきているのかもしれません。

一年中豊かな生態系を保つ田んぼ

鳥が集まる田んぼ

豊かな生態系を生み出す田んぼ

7月にはホタルが乱舞する田んぼ

大量の無視や土の中の菌たちと共存する田んぼ

菌と微生物の反応で土が他の田んぼよりも2度高い

稲刈りの最後の時期まで豊かな生態系を育む田んぼ